2019年10月30日
【午前の部】
10月30日(水)挾間キャンパス臨床中講義室にて、医学部4年生を対象に「医師のキャリアとワークライフバランスを考える」と題したキャリア教育の講義が開催されました。
今年で4回目を迎えるこの講義は、「卒業後、様々なライフイベントや岐路に立たされた時に、自らのキャリアの形成や、ライフとの兼ね合いをどのように選択していくのか」を学生自身に考えてもらうことを目的としています。これまでは午後からの半日でしたが、今回からは、1限から4限までのまる1日を使った講義となりました。
講義の初めに学内の3人の先生方から、現役医師のキャリアロールモデルとしてのお話を伺いました。
最初は心臓血管外科教授の宮本伸二先生より、心臓血管外科に入局をしたころのお話から留学に至った経緯、医局での女性医師支援等、沢山の内容をお話いただきました。
続いて2番目に救命救急センターの松成修先生より、救命救急を目指したきっかけや救急センターでの仕事内容やワークライフバランスについてお話いただきました。
3番目は皮膚科の広瀬晴奈先生です。大学入学前から現在までの歩みを紹介し、仕事と家庭を両立させるためには、お互いの立場を理解・尊重しあいながら夫婦で協力することが大切であると語られました。
先生方のリアルな現場のお話に、学生たちも熱心に耳を傾けていました。
先生方の講話の後は、グループワークです。学生たちは12のグループに分かれ、チュートリアル室でテーマ別のグループ討論をしました。テーマは、ワークライフバランス、緊急事態への対応、キャリア継続(転勤・留学)の3つとなっており、それぞれグループ毎に出されたキーワードを元に、想定されるシナリオとそれに対する解決策を討論してもらいます。作成したシナリオは午後からローププレイ形式で発表します。
キーワードの例としては、「研修医の時に結婚・出産をした夫婦」「夫婦共働き・2歳の子供の朝の急な発熱・2人とも県外出身」「若い夫婦・夫が米国留学を希望」です。これらのキーワードをもとに、どんな状況を想定しようか最初は迷っていた学生たちも、討論が進むうちにアイデアが出てきたようで、オリジナリティ溢れるシナリオ作成をしていました。
【午後の部】
午後からは再び講義室に戻り、ロールプレイの前に多方面の先生方からキャリアについての講義を受けました。最初は、細胞生物学教授の花田俊勝先生から、基礎研究医を目指した理由や基礎研究の魅力、留学生活も含めたキャリアアップについてお話をしていただきました。続いて開業医の先生による講演として、貞永産婦人科医院の院長 貞永明美先生より、医師になったきっかけ・勤務医時代の勤務環境や産婦人科医としての開業についてお話しいただきました。まだ女性医師の少ない時代に医師となった先生がご経験されたご苦労についてもお聴きすることができました。
講義の最後は、消化器内科の遠藤美月先生より、2人のお子さんを育てながら仕事と家庭を両立させるコツ、また年々増えつつある女性医師に対しての医局のサポート等をお話いただきました。
様々な立場の先生方からのお話に学生たちは真剣に耳を傾けていました。
午前中にグループ討論で作成したグループ毎のシナリオをロールプレイングで発表しました。
どのグループも細かく設定をしたドラマのようなシナリオと役作りで、熱演でした。
<ロールプレイング>
シナリオと解決策の一部を抜粋してご紹介します。
ロールプレイング終了後は、医学生物学教授で女性医療人キャリア支援センター副センター長の松浦恵子先生と腎臓内科の中田健先生によるワークライフバランスミニ講座がありました。
講義の前に実施したプレアンケートの結果が発表され、「ワークライフバランスという言葉を知っている」という質問に半数以上が「はい」と答えており、「ワークライフバランス」の認知度は高まっているようでした。また、「あなたは、育児・家事を積極的にしたいと思いますか」との質問に「積極的に主になってしたい」「配偶者と一緒にしたい」と答えた学生が男女とも大多数を占めており、性別を問わず男女共同参画の意識をしっかり持っていることが分かりました。
最後は医学教育センター教授の中川幹子先生より、今後のみなさんのキャリアを考えるときに役立ててほしいとのお話があり講義が終了しました。
ロールプレイングの感想
- 自分にはない発想の人の話を聞けて、刺激になりました。
自分たちでどんなシナリオにするか考えるのが面白かった。
班ごとに考え方の違いが出ていたと思います。
自分たちでシナリオを考えることによって将来のことについて考えることができた。
ロールプレイングの感想
- 男女で働き方や家庭での家事に対する考え方に違いがあるなど、多彩な意見があって、将来の自分の生活に役立てたいと思った。
- ワークライフバランスやキャリアのことについて、いろいろなキャリアがあり、そのことについて考えるいい機会となりました。
- 今まで授業で聞いていたものの深くまで考えが及んでいなかったが、実際に参加してみることでより親身に問題を感じられとてもよく考えるきっかけになった。